相続の対策を誤ってしまったら

不動産鑑定士 山村寛

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 相続についての相談に来られる方の多くが、相続税の負担を心配されます。
 しかし、本当に解決しておかなければならないのは、①遺産を相続人が争うことなく上手に分けること。②相続人が相続税の支払いに困らないこと。そして③相続税の負担を軽くして、少しでも遺産が残るようにすること。
①、②を優先し、③はそのあとです。そして、残念ながら、①~③を全て満す完璧な相続準備(対策)はそうはないということです。

 一方で、相続財産に占める不動産の割合は約47%(平成25年国税庁調査)になります。
この不動産が厄介なのは、①分けにくい。②換金しにくい。③客観的な価値がよくわからない。④負債に転じてしまう危険がある。ということです。

 不動産の対策は相続対策の重要な柱の一つです。よく、あわててアパート等を建築される方が見えますが、不動産対策をただ急いでやればいいわけではありません。
なぜなら、準備をした時点で最も有効な相続対策が実際の相続時にも有効な相続対策となっているとは限らない。ということです。これは、早くから準備しても無駄。と言っているのではありません。

 途中で相続の税制や法律が改正されたり、相続人の経済状態、家族状況も変化するからです。要は、分割や納税がしやすいように基本的な相続対策をしっかり行い、行き過ぎた相続対策にならないよう専門家とよく相談することです。